※はじめにお読みください※
この度は、心よりお悔やみ申し上げます。
この記事は、ご家族が亡くなられた後の手続きについて、一般的な流れを解説するものです。法的な判断や税務申告など、専門的な対応が必要な場合は、必ず弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご相談ください。
大切な家族が旅立った直後、深い悲しみに暮れる間もなく、私たちは怒涛のような手続きの波に直面します。
「何から手をつければいいのか、全く分からない」
「たくさんの書類が必要らしいけど、どこで何をもらえばいいの?」
「期限がある手続きを逃して、後で大変なことになったらどうしよう…」
このように、不安と焦りでパニックになってしまうのは、決してあなただけではありません。ご逝去後の手続きは多岐にわたり、それぞれに期限が設けられているため、全体像を知らないまま進めるのは非常に困難です。
そこでこの記事では、あなたが道に迷わないよう、手続きの全体像を「時間軸」で整理した、具体的なロードマップをご用意しました。この地図を片手に、一つずつ着実に進んでいきましょう。
目次
- はじめに:相続手続きの全体像(タイムリミット別ロードマップ)
- 【〜14日以内】まずはこれだけ!当面の最優先手続き
- ① 死亡届の提出と火葬許可証の受け取り(7日以内)
- ② 葬儀の手配
- ③ 年金受給停止の手続き(10日or14日以内)
- ④ 健康保険・介護保険の手続き(14日以内)
- 【〜3ヶ月以内】相続の方向性を決める重要期間
- ① 遺言書の有無を確認する
- ② 相続人を確定させる(戸籍謄本集めの始まり)
- ③ 相続財産を調査する(財産目録の作成)
- ④【最重要】相続方法を決定する(相続放棄の期限)
- 【〜4ヶ月・10ヶ月以内】忘れてはいけない税金の手続き
- ① 故人の所得税申告「準確定申告」(4ヶ月以内)
- ② 相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
- 【10ヶ月以降〜】財産を引き継ぐための最終手続き
- ① 遺産分割協議と「遺産分割協議書」の作成
- ② 各種財産の名義変更(預貯金、不動産、株式など)
- もしも手続きに詰まったら?専門家の頼り方
- まとめ:焦らず、一つずつ着実に進めましょう
1. はじめに:相続手続きの全体像(タイムリミット別ロードマップ)
まずは全体像を掴みましょう。手続きは大きく分けて4つのフェーズに分かれています。
- フェーズ1:当面の手続き(〜14日)→ 死亡に伴う行政手続きが中心。
- フェーズ2:相続の基本方針決定(〜3ヶ月)→ 遺産を相続するかどうかの重要な判断を下す期間。
- フェーズ3:税務申告(〜10ヶ月)→ 所得税や相続税の申告が必要な場合の対応期間。
- フェーズ4:名義変更など(10ヶ月以降〜)→ 遺産を正式に自分のものにする最終手続き。
この時間軸を頭に入れておくだけで、今自分がどの段階にいるのかが分かり、心の負担が軽くなります。
2. 【〜14日以内】まずはこれだけ!当面の最優先手続き
故人を送り出すための、待ったなしの手続きです。関係各所と連携しながら進めましょう。
① 死亡届の提出と火葬許可証の受け取り(7日以内)
- やること:医師から「死亡診断書」を受け取ったら、それと一体になった「死亡届」に必要事項を記入し、市区町村役場に提出します。
- 期限:死亡の事実を知った日から7日以内
- ポイント:死亡届を提出すると、火葬・埋葬に必須の**「火葬(埋葬)許可証」**が交付されます。この後の手続きで死亡診断書のコピーが何度も必要になるため、役所に提出する前に必ず10枚ほどコピーを取っておきましょう。
② 葬儀の手配
死亡届の提出と並行して、葬儀社と打ち合わせを進めます。故人の遺志や家族の希望を伝え、日程や形式を決定します。
③ 年金受給停止の手続き(10日or14日以内)
- やること:故人が年金を受給していた場合、年金事務所または年金相談センターで「受給権者死亡届」を提出し、受給を停止します。
- 期限:厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内
- ポイント:手続きが遅れると年金が払い過ぎ(過払い)となり、後で返還手続きが必要になります。また、未支給分の年金を受け取れる場合もあるので、窓口で確認しましょう。
④ 健康保険・介護保険の手続き(14日以内)
- やること:故人が加入していた健康保険の「資格喪失届」を提出し、保険証を返却します。
- 期限:原則14日以内
- ポイント:手続きをすると、葬儀費用の一部として**「葬祭費(埋葬料)」**が支給される場合があります。忘れずに申請しましょう。
3. 【〜3ヶ月以内】相続の方向性を決める重要期間
ここからが本格的な相続手続きのスタートです。この3ヶ月間の調査と判断が、相続全体の方向性を決定づけます。
① 遺言書の有無を確認する
まずは故人が遺言書を遺していないか探します。自宅の仏壇や金庫、貸金庫のほか、公正証書遺言であれば公証役場で、自筆証書遺言書保管制度を利用していれば法務局で確認できます。遺言書があれば、原則その内容に従って遺産分割を進めます。
② 相続人を確定させる(戸籍謄本集めの始まり)
- やること:誰が法的な相続人なのかを確定させるため、**故人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)**を全て集めます。
- なぜ必要?:現在の戸籍を見ただけでは、過去の結婚や離婚、認知した子の存在などは分かりません。全ての相続人を確定させないと、後の遺産分割協議が無効になるリスクがあるため、この作業は極めて重要です。
- ポイント:本籍地が遠方にある場合は、郵送で取り寄せることも可能です。非常に手間のかかる作業なので、司法書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
③ 相続財産を調査する(財産目録の作成)
- やること:故人が遺した財産をすべてリストアップし、「財産目録」を作成します。
- 調査対象:
- プラスの財産:預貯金、不動産、株式、生命保険、自動車など
- マイナスの財産:借金、ローン、未払いの税金など
- ポイント:この段階で最も重要なのは**「マイナスの財産(借金)」を見逃さないこと**です。相続はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐのが原則だからです。
④【最重要】相続方法を決定する(相続放棄の期限)
- 期限:相続の開始を知った日(通常は死亡日)から3ヶ月以内
- やること:財産調査の結果をもとに、以下の3つの相続方法からどれを選ぶかを決め、必要な場合は家庭裁判所で手続きをします。
- 単純承認:プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する。
- 相続放棄:すべての財産を放棄する。借金が多い場合に選択。
- 限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する。
- 注意点:**3ヶ月の期限を過ぎると、自動的に「単純承認」したとみなされます。**後から多額の借金が見つかっても、原則として放棄はできません。
4. 【〜4ヶ月・10ヶ月以内】忘れてはいけない税金の手続き
相続税がかからない場合でも、故人の所得税の申告が必要なケースがあります。
① 故人の所得税申告「準確定申告」(4ヶ月以内)
- やること:故人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに所得税の確定申告を行います。
- 期限:相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
- ポイント:故人が自営業者だった場合や、年金・給与以外の所得が20万円以上あった場合などに必要です。
② 相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
- やること:遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に、相続税の申告と納税を行います。
- 期限:相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
- ポイント:相続税の対象となるのは相続全体の約1割と言われていますが、期限内に申告しないとペナルティが課されます。遺産額が大きい場合は、早めに税理士に相談しましょう。
5. 【10ヶ月以降〜】財産を引き継ぐための最終手続き
税金の手続きと並行して、遺産を具体的に分ける作業を進めます。
① 遺産分割協議と「遺産分割協議書」の作成
相続人全員で、「誰が」「どの財産を」「どれくらい」相続するのかを話し合います。全員が合意したら、その内容を**「遺産分割協議書」**という正式な書面にまとめ、全員が署名・実印で押印します。この書類が、後の名義変更手続きで必須となります。
② 各種財産の名義変更(預貯金、不動産、株式など)
遺産分割協議書に基づき、各財産の名義を故人から相続人へ変更します。
- 預貯金:金融機関で解約・名義変更
- 不動産:法務局で「相続登記」 ※2024年から義務化されています!
- 株式:証券会社で名義変更
- 自動車:運輸支局で名義変更
6. もしも手続きに詰まったら?専門家の頼り方
これらの手続きをすべて自分たちだけで行うのは大変です。困ったときは、専門家の力を借りるのが賢明です。
- 戸籍集めや不動産登記で困ったら → 司法書士、行政書士
- 相続人同士で揉めてしまったら → 弁護士
- 相続税の申告が必要なら → 税理士
- どこに相談していいか分からない → まずは司法書士に相談すると、手続き全体の流れを整理してくれ、必要に応じて他の専門家も紹介してくれます。
まとめ:焦らず、一つずつ着実に進めましょう
改めて、ご家族を亡くされたあなたの心労は計り知れないものとお察しします。しかし、手続きを進めることは、故人から受け取った大切なバトンを、未来へ繋いでいくための責任でもあります。
このロードマップが、あなたの心のコンパスとなり、次に何をすべきかを照らす一助となれば幸いです。大切なのは、すべてを一度にやろうとしないこと。期限を意識しつつ、一つずつ着実に、あなたのペースで進めていってください。

