ご親族が亡くなり、遺産に不動産が含まれていた場合の「分け方」に関する悩みは、非常に多くの方が直面する切実な問題です。
円満な解決を目指すための具体的な分割方法や注意点について、ブログ記事を作成します。法律や税務に関する個別具体的なアドバイスではなく、あくまで一般的な知識として解説するスタンスで執筆いたします。
※はじめにお読みください※
この記事は、不動産の遺産分割に関する一般的な情報提供を目的としています。特定のケースに対する法的なアドバイスや税務判断を行うものではありません。実際の分割協議や手続きにあたっては、必ず弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご相談ください。
「親が亡くなり、遺産に実家が含まれているけれど、どうやって分ければいいんだろう…」
「兄弟で平等に分けたいけど、不動産は預金と違って簡単に分けられないし…」
相続が始まったとき、多くの方が頭を悩ませるのが「不動産の分割」です。預貯金であれば1円単位で公平に分けられますが、土地や建物は物理的に切り分けることが難しく、これがきっかけで今まで仲の良かった兄弟姉妹の関係に亀裂が入ってしまう「争続」に発展するケースは少なくありません。
しかし、ご安心ください。不動産の分割には、法律で認められたいくつかの方法があります。それぞれの方法のメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身の状況に合った選択肢を検討することが、円満解決への第一歩です。
この記事では、不動産の遺産分割で代表的な4つの方法と、後々トラブルにならないための重要な注意点を、分かりやすく解説していきます。
目次
- なぜ?不動産の遺産分割が揉めやすい3つの理由
- 【基本を解説】不動産の4つの分割方法とメリット・デメリット
- ① 現物分割(げんぶつぶんかつ)|誰か一人がそのまま相続する
- ② 代償分割(だいしょうぶんかつ)|相続した人が他の人にお金を払う
- ③ 換価分割(かんかぶんかつ)|売却して現金で分ける
- ④ 共有分割(きょうゆうぶんかつ)|全員で共同所有する【要注意】
- どの方法を選ぶ?状況別の考え方
- 円満な分割を実現するための3つの重要ポイント
- ポイント1:「いくらの価値があるか?」不動産の評価額の基準をそろえる
- ポイント2:「誰がどうしたいか?」それぞれの想いと現実を話し合う
- ポイント3:安易に「共有名義」を選ばない
- どうしても話し合いがまとまらない場合は
- まとめ:将来を見据えた納得のいく話し合いを
1. なぜ?不動産の遺産分割が揉めやすい3つの理由
本題に入る前に、なぜ不動産の分割が揉めやすいのか、その原因を知っておきましょう。
- ① 物理的に分けられない最も根本的な理由です。現金のように数字で割り切れないため、「平等」の形を見つけにくいのが特徴です。
- ② 評価が難しい不動産の価値は、固定資産税評価額、相続税路線価、時価(実勢価格)など、どの基準で見るかによって金額が変わります。相続人の間で「どの金額を基準にするか」という点で意見が対立しがちです。
- ③ 感情的な価値が絡む「自分が生まれ育った家」「親との思い出が詰まった場所」といった、お金には代えられない想いが、客観的な判断を難しくさせることがあります。
これらの理由が複雑に絡み合うことで、不動産の分割は難航しやすくなるのです。
2. 【基本を解説】不動産の4つの分割方法とメリット・デメリット
ここからが本題です。不動産の分割には、主に以下の4つの方法があります。
① 現物分割(げんぶつぶんかつ)|誰か一人がそのまま相続する
【どんな方法?】
長男が実家を、次男が預貯金を、というように、特定の相続人が不動産そのものを現物のまま相続する方法です。最もシンプルで基本的な分割方法とされています。
【メリット】
- 手続きが比較的簡単で、費用を抑えられる。
- 思い出のある家などを売却せずに残すことができる。
【デメリット】
- 相続する財産の種類や価値に差が出やすく、不公平感が生まれやすい。(例:実家が3,000万円、預金が500万円の場合など)
【向いているケース】
- 相続財産が不動産の他に十分な金融資産もあり、他の相続人が納得できるような調整が可能な場合。
- 同居していた長男がそのまま住み続けるなど、相続人間の合意がスムーズに得られる場合。
② 代償分割(だいしょうぶんかつ)|相続した人が他の人にお金を払う
【どんな方法?】
相続人の一人が不動産を相続する代わりに、その不動産を取得できなかった他の相続人に対して、法定相続分に見合うお金(代償金)を支払う方法です。現物分割で生じる不公平感を、お金で解決するイメージです。
【メリット】
- 法定相続分に基づいた公平な分割が実現しやすい。
- 不動産を売却せずに残すことができる。
【デメリット】
- 不動産を相続する人に、代償金を支払うだけの十分な預貯金が必要。
- 不動産の評価額をいくらにするかで揉める可能性がある。
【向いているケース】
- 不動産を相続したいという強い希望を持つ人がいて、かつその人に代償金を支払う資力がある場合。
③ 換価分割(かんかぶんかつ)|売却して現金で分ける
【どんな方法?】
不動産を第三者に売却して現金化し、その売却代金から諸経費(仲介手数料、税金など)を差し引いた残りを、相続人同士で分割する方法です。
【メリット】
- 1円単位で分けられるため、最も公平で分かりやすい。
- 後のトラブルの種が残りにくい。
- 誰も住む予定のない不動産の管理や固定資産税の負担から解放される。
【デメリット】
- 思い出の詰まった家などが手元から無くなってしまう。
- 売却には仲介手数料などの費用や、利益が出た場合には譲渡所得税がかかる。
- 希望する価格や時期に売却できるとは限らない。
【向いているケース】
- 相続人の誰もその不動産を利用する予定がない場合。
- 相続人同士の関係性から、公平さを最も重視したい場合。
④ 共有分割(きょうゆうぶんかつ)|全員で共同所有する【要注意】
【どんな方法?】
一つの不動産を、複数の相続人が法定相続分などの持分に応じて、共同で名義登録(共有名義)する方法です。
【メリット】
- その場では、とりあえず「平等」に分けた形になるため、分割協議が一時的にまとまりやすい。
【デメリット】
- 将来、非常に高い確率でトラブルの原因となります。
- 売却や賃貸に出すには、共有者全員の同意が必要になり、一人でも反対すると何もできなくなります。
- 共有者の一人が亡くなると、その人の持分がさらにその子どもたちへと相続され、権利関係がネズミ算式に複雑化していきます。
- 最終的に誰も管理できなくなり、売るにも売れない「負」動産と化すリスクが極めて高い方法です。
【向いているケース】
- 基本的には、安易に選択すべきではない方法です。将来的に売却することが決まっているなど、ごく短期間の暫定的な措置として利用する場合に限られます。
3. どの方法を選ぶ?状況別の考え方
- 家を残したい人がいる → ①現物分割 or ②代償分割
- 他の財産で調整可能か? → ①現物分割
- お金で解決する必要があるか? → ②代償分割
- 誰も家に住まない・公平に分けたい → ③換価分割
- とりあえず揉め事を避けたい → ④共有分割(※ただし将来のリスクを全員で覚悟する必要あり)
4. 円満な分割を実現するための3つの重要ポイント
どの方法を選ぶにせよ、話し合いを進める上で以下の3点は必ず押さえましょう。
ポイント1:「いくらの価値があるか?」不動産の評価額の基準をそろえる
代償分割などを行う際、不動産の価値をいくらと見るかで揉めることが非常に多いです。評価額には、固定資産税評価額、相続税路線価、時価(実際に売れる価格)などがあります。話し合いの前に「どの基準で評価するか」を全員で合意しておくことが極めて重要です。一般的には、複数の不動産会社に査定を依頼し、その平均額など「時価」を基準にすると、全員が納得しやすい傾向にあります。
ポイント2:「誰がどうしたいか?」それぞれの想いと現実を話し合う
「家に住み続けたい」「売ってお金で欲しい」「特に希望はない」など、まずはそれぞれの相続人がどうしたいのか、本音をオープンに話し合う場を持ちましょう。その際、「家に住みたいなら、今後の固定資産税や修繕費は誰がどう負担するのか?」といった、感情論だけでなく、将来の維持管理という現実的な問題も合わせて考えることが大切です。
ポイント3:安易に「共有名義」を選ばない
繰り返しになりますが、共有名義はその場しのぎの解決策になりがちですが、問題を先送りにしているに過ぎません。自分たちの代で解決できる問題は、必ず解決しておくという強い意志を持つことが、子どもや孫の世代を想う本当の優しさと言えるでしょう。
5. どうしても話し合いがまとまらない場合は
相続人同士での話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てる方法があります。調停は、裁判官や調停委員という中立な第三者を交えて話し合う手続きで、感情的な対立を避けながら、合意形成を目指すことができます。
また、そもそも話し合いがこじれそうだと感じたら、早い段階で弁護士などの専門家に相談することも有効な手段です。
まとめ:将来を見据えた納得のいく話し合いを
不動産の遺産分割は、相続の中でも最もデリケートで難しい問題の一つです。しかし、今回ご紹介した4つの分割方法の選択肢と、話し合いのポイントを知っておくだけで、冷静に解決策を探ることができるはずです。
最も大切なのは、目先の平等さや感情に流されるのではなく、「誰がどうするのが、将来にわたって一番良いのか」という視点で、相続人全員が納得できる着地点を見つけることです。
そのためにも、まずはオープンに話し合うこと、そして安易な結論(特に共有名義)に飛びつかないこと。もし困ったら、専門家の客観的な知恵を借りることをためらわないでください。それが、円満な相続を実現するための最も確実な道筋です。

